らもちー

ファイ 悪魔に育てられた少年のらもちーのネタバレレビュー・内容・結末

2.5

このレビューはネタバレを含みます

後半まで話についていけずまた中だるみしてるような印象もあったがラストの方は楽しくみれた。

5人のおじさんで構成された犯罪グループ白昼鬼によって誘拐された幼い少年ファイ。彼はおじさん達に何故か育てられ犯罪の簡単な手伝いもしていた。大きくなり青年になったファイは人生の帰路にたっていた。おじさんAはファイの絵の才能を認め国外の絵の学校に進学させようとしたが、おじさんBは反対の様子だった。おじさんBはファイに精神的に依存しており手放したくなかったのである。おじさんBはファイから選択肢を奪うため、殺人をさせ自分と同じように汚れさせようとする。
そんなとき知り合い(大手会社社長であり暴力団ともつるんでいる)から犯罪依頼を受ける。それは立ち退き区域で居座り続ける夫婦の始末である。おじさんBは嫌がるファイに夫を殺させる。実はその夫はファイの実の父だった。それを知ったファイは実の母の命が狙われていた事もあり、なりふり構わず白昼鬼のメンバーなどをガンガン殺し始める。しかし殺しの最中で分かるのだが、白昼鬼のメンバーはみんなそれぞれにファイのことを心の拠り所にしていたようだ。ファイは賢く優しくそして穢れがなかった。そんなファイにみんな実は惹かれ愛着も持っていた。なのでおじさん達はファイに反撃出来そうな場面でも決定的な反撃をしない。おじさんC(太っていて顔に痣がある人)が謝りながら鉄塔から落下するシーンは悲しくなる。おじさんBの態度が1番不可解だったが、最後の最後でファイへの依存心が剥き出しになるがやはりファイに殺される。「虫けらが俺の息子を撃ちやがって」というセリフには切なさも感じるがそれはどこまでもエゴでファイを支配したいという心理が見え隠れする。
穏やかで清廉なファイは幾多の殺人を経験してしまったが、それでも初恋の人に絵とカメラをプレゼントしていて、ファイの綺麗な部分が失われた訳では無いことを感じさせる。ラストは大手会社の社長(立ち退きを迫っていたクズっぽい人)を撃ち殺し、ファイに新たに備わった冷徹さや狙撃手としての確かな腕前を感じさせる。1番最後は育ての母にみかんを届けるシーンで終わっており、これからファイがどういう道を生きていくのか分からないが、自分の道を探し生きていくのだなと感じさせる終わり方だった。

刑事がかなり無駄死にだった気がする。地下から出てきて銃口を向けるシーンは不要だと思うしあの場面での「俺は刑事だ!」みたいなセリフも間抜けに感じた。冒頭で刺された人物が刑事として再登場するというのは驚きではあったけど、あまり上手くハマってないような…
ファイが捕まらなかったり白昼鬼自体が目立つ犯罪グループだと思うんだけど普通に野放しだだったり、というか冒頭の車内での刑事軍、みんな電車に取り残されるの間抜け過ぎでしょと思った。あとは立ち退きハウスに入った時「妻はどこだ」と夫に迫るシーン、普通クローゼットみたいな所全部開けると思うんだけどモタモタしてるせいで妻は脱走するし、そもそもタンスの前でファイが意味深に立ってたのに何も調べないのもうーんという感じで、種は蒔いてるけど上手くいってないような…とにかくディテールの描き方が雑に感じた。ファイの意中の相手も途中犯罪に若干巻き込まれそうになってたがなんか普通に解放されてたようで、あのシーンいる?という気もする。おじさんBの過去エピソードだけど劣等感で女を1人レイプしたのもなんか雑な描き方というかキャラクターに厚みを感じさせない感が…

ファイ役の人の演技はめっちゃ良かった。
らもちー

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