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福福荘の福ちゃんのスエのレビュー・感想・評価

福福荘の福ちゃん(2014年製作の映画)
3.7
2021.12.13再鑑賞

福ちゃんはホモソーシャルに染まりきらず、純朴で面倒見が良い。そして凧づくりの名人。鑑賞後に再確認することになるのだが、一番まともで倫理的な登場人物は福ちゃんなのである。

福ちゃんから感じるのは「優しさは距離感」ということ。それ以前に他者だけでなく「自分との距離感」も福ちゃんはしっかりしてる。水川あさみはじめ周囲の人物は、その距離感の不全を抱えているけれど、福ちゃんとの交流から良い作用を受ける(受けられない人もいる)。

凧が空で安定するには、糸を持つ手の強弱と糸の長さ(距離)が肝心。福ちゃんの人物像は凧がメタファーとなっています。

ナンセンスで大雑把なエピソードに苦笑いで首を傾げるところも多いのですが、好感の持てる作品です。
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