スエ

夜明けのすべてのスエのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.4
「やさしい世界」という半ばミーム化した表現があるけれど、正直「世界は厳しい。だから優しい人もいる」だと思う。この作品のメッセージもそう。優しい人々には、優しい理由や背景があることを、きちんと描いているところがとても大切なポイント。久保田磨希さん演じる同僚にもマイノリティ性の設定を与えている。そういった熟考の痕跡が見えるのが、私が三宅監督に信頼を置く部分です。
起伏のあるロケ地を選んだり、中学生の放送部を噛ませたりする肉付けにも現れていると思います。恋愛に依存した作劇でないのも大変好感を持ちました。

「ままならない自分」に苦しみ、日々傷ついている人は沢山いて、私たちはお互いすれ違いながら生活しています。ひとたび電車に乗るだけでもそんなところに思い至れるのは、私が都会のいいところだと思うし、このような映画を観ることの効能だと思います。

エンドロールの最後の最後も良かったです。
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