ビターチョコ

福福荘の福ちゃんのビターチョコのレビュー・感想・評価

福福荘の福ちゃん(2014年製作の映画)
5.0
満点!
本当に楽しい映画。
本当に愉快な邦画で、すごく楽しかった!

●あらすじ
建築関係の仕事をする福田辰男は、みんなから信頼される30代前半の男。今日も職場のリーダー的存在として、みなの作業を暖かく見守っていた。が、ホモじゃないのに、なぜか女性嫌い。だから同僚で親友のシマッチが、女性を紹介しようとする……。

登場人物の全員に意味があった。第一印象が悪い人が多く、でもそれが覆る(くつがえる、ひっくり返るという意味)ことが多かった。他人を信用したくなる映画。信用したくなるだけ…かもしれないが、それでもいいじゃない?

現代日本にふつう(平仮名)にいる人たち、そんな色んな人が出てくる。みんな悩み、がんばって生きている。それが嬉しい映画。みんな変な人なのが嬉しい。

観て本当に良かった映画。
この監督には、これからも素敵な映画を撮って欲しい。藤田容介監督だ。私は『全然大丈夫』(2008年)で知った。この『福ちゃん』は2014年公開。日本でほとんど話題になっていない…と思うが、スタジオジブリのアニメーション映画より価値がある(今の私にとって)。

邦画には良い作品が多数ある。本当に多数ある。しかし、なぜ邦画には客が少ないのだろう。とても不思議だ。って、私は映画館に全く行かないタイプだが(スンマセン)。

この『福ちゃん』のような映画が、もっと評価されて欲しい。それとは関係なしに「5.0」を付けるが、もし私が高評価することで、ほんの少しでも(邦画の業界に)良い影響があるなら、ちょっと嬉しい。

●以下は余談
現実の普通(今回は漢字)の人たちは、教養がない場合が多く、だから頑固で、身勝手で、差別をいっぱいしてるのに、「差別はいかん」と主張し、だが矛盾に自覚なく、そして自分を棚にあげて他人に説教する不愉快な人たちばかりだ。ああ嫌だ、いやだなァ。

この映画は楽しい。
でもね、ファンタジー。
が、次の三人は本当にいそう。

1 著名な写真家の沼倉
相手のことを完全に無視している。

2 克子(シマッチの妻の同僚)
平凡な女性。福ちゃんに直接話しかけようとしない。一度も笑わない。

3 福福荘の住人、野々下
視野が狭く、思い込みが激しく、常にナイフを持っている。

が、ナイフを持ち歩く「野々下」のような悲しい人がいるから、事件が発生し、そして人間社会に予想外の変化が生まれるのかもしれない(できるだけ関わりたくないが)。彼は病気だが治るのか? とても優しい人と思ったが、同時にとても怖い人だった。

この三名が現実にいそうな人なのだ。相手がなく、自分だけ。本当に自分だけ。だから人間社会は良くならないのだろう。過半数が不愉快な人達だから。過半数どころか、たぶん9割以上だろう。

まだ1回しか観ていない。
これから何度も観るだろう。
映画『福ちゃん』が存在することが、私は嬉しい。

●さらに余談
シマッチのような人は多い気がする。だが現実は、あんなふうにまで言葉にしてくれないし、視野が狭いし、逆ギレするだろう。

そんな意味で、この映画はファンタジーだ。

映画内の「ささやかな素敵なこと」は嬉しい。だが現実に小さな素敵は、もっと嬉しい。たとえば福福荘の馬渕。彼は元東大の人。シマッチが言ったように、頭のいい馬鹿(だっけ?)。勉強ができる人は、人間観察力がすぐれているのか? たぶん全く違うだろう。が、私は馬渕が好きだ。素敵なパートナーがいれば、彼の能力は花開く? そんな気がする。が、彼には実は……やりたい事は何もない気がした。暗記型じゃなく、知能指数が高いタイプのようだったが。

現実に一番いそうなのが、ヒロインと同居する悠子(平岩紙)。だが彼女は、この映画の主人公でも主役でもなく、脇役である。リアルっぽい人が脇役だから、この映画は楽しい=ファンタジーなのかもしれない。

また観たい映画。
続けて観るともったいないから、日を空けて観たい。

●追記(2020年12/28-22時)
徳永ゆうき氏は、現在25歳。
だからこの映画の撮影時の2014年、まだ十代だった?
彼は演歌歌手だ。すごいなあ、上手いなあ。