Habby中野

アッテンバーグのHabby中野のネタバレレビュー・内容・結末

アッテンバーグ(2010年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

行為としてのキッス。濃厚接触の実験、実践─不感、嫌悪─動物の形態模写。
この映画はあらゆる観点から人間を見る。
ギリシャ、海沿いの街─発展と閉塞感の歴史から見た小ささ。工場、建築、音楽─文明的な遺産。家族の存在/不在、恋愛の形式─形成された社会。病、性、胸、肩甲骨─生物学的な人間─或いは、美学的な身体性。
繰り返される有機的存在による無機質なダンスは、人間の有意と無為の両義性─存在の大から小、上から下までのすべてを象徴する。人間は、動物的であり、しかし動物ではない。愚かでもあり崇高でもありうるこの存在。自然の動物を撮り続けたアッテンボローの覚え違いをタイトルに、存在の意味を捉えようとしている。父の遺骨を放った海の帰りに延々と在る、赤土の工事現場。これは生か死か。
親友の骨を撒いた『マイブロークン・マリコ』が生を愛する感傷の極致なら、この映画は死を達観したアンチ・センチメンタルだ。
Habby中野

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