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シネマ歌舞伎 大江戸りびんぐでっどのdm10foreverのレビュー・感想・評価

4.0
【入門編】

「歌舞伎ってさぁ、何か何を喋ってるかわかんないよね~。海老蔵は観てみたいけどさぁ」

丁度先日知り合いとこんな話をしたばかりだった。
そして、僕もウンウンと頷いていた。
歌舞伎も能も狂言も、基本的には「雰囲気で楽しむもの」みたいな感覚だった。だから、京都に行ったときにも歌舞伎座の前は通ったけど、勝手に敷居が高いと感じて入らず。

恐らく似たような感覚の方は多いのでは?

そんな方にお薦めです✨

確かにクドカンの演出ということもあって、笑いのポイントもかなり現代風にアレンジされてるとは思いますし、セリフ自体も現代口調なので違和感なく普通に入ってきます。
だから、ある意味では「ガチの歌舞伎」ではないので入門編とでも言いましょうか、敷居は低くなってますのでポップコーン感覚で観れると思います。

ただ、そこは「歌舞伎」。
ライブであるが故の熱量が半端ないです。
コミカルなシーンもところどころに挟まっていて、ストーリー的にはゆるーい感じの空気が流れますが、演者の目力やほとばしる汗からビンビンに熱が伝わってくるんですね。

で、クドカンが演出しながらも、歌舞伎のテイスト(伝統的な立ち位置)をキチンと守っていたのも◎でした。
もともと、社会風刺という色が強かった歌舞伎ですが、そのエッセンスがちゃんと入っていました。

ゾンビは確かに人を襲うんだけど、コントロールすれば大人しく従順に使うことが出来るという設定から、低賃金労働者(というか金銭の感覚もないから無賃金労働者?)として、ゾンビ(存鼻)➡️ハケンと呼ばれ、人がやりたがらないような現場やあまりコストがかけられない現場などで重宝されていた。しかし、低コストで行われた作業は結果として杜撰な手抜き工事にも繋がっていき…という、何処かで聞いたような話にもなる。
それをゾンビで作り上げる辺りが上手いし、尚且つ歌舞伎として作ってしまったクドカンの才能はやっぱり凄いなと。

そして、やっぱり歌舞伎役者って凄いんだなと。

「歌舞伎は難しそうだからなぁ」と思っている方、まずは手始めにこの辺から始めてみると良いかも知れませんね。
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