ふき

コードネーム U.N.C.L.E.のふきのレビュー・感想・評価

コードネーム U.N.C.L.E.(2014年製作の映画)
3.0
感想は、一言で「いまいち」。劇場でチラシや予告を見た時に下した「なんか地味だし、他に見たいの多いから後にしよう」の判断が正しかったと感じてしまう出来だった。

東ドイツのカーチェイスからの脱出はワクワクしたし、キャラクターの会話劇もクスリと笑え、ヘンリー・カヴィル氏とアーミー・ハマー氏演じる敵対者の謎の息の合いっぷりも面白く、序盤はチームアップ後の展開が楽しみだった。しかし、その後も軽妙な会話とテンポのいい編集でお話が進んでいくものの、パッとした見所も驚愕の謎も特になく、テンションが右上がりに張り詰めていかない。だからクライマックスも、どうも温く感じてしまう。
「バディもの」としての面白さがないのも致命的だ。ソロもイリヤもキャラクターとしては面白いし演技も素晴らしいのだが、活躍シーンは「まずはソロ、次はイリヤ」といった順番ものばかりで、二人が同時に動くことで生まれる「短所の補い合い」「長所と長所の相乗効果」は描かれない。1+1が2以上にならないのだ。オシャレなスパイなら『007』が、正気を疑うスタントなら『M:I』が、悪趣味の領域に突入するパロディコメディなら『キングスメン』がある二〇一五年公開当時、本作が唯一違う色を出せた点が「バディもの」だっただけに、ここは残念だった。

もちろん見所がないわけではない。米ソコンビとギャビーの掛け合いは笑えるし、一九六〇年代のファッションやクルマや技術レベルも興味深い。続編で化ける可能性はあるだろうが、興行的には大失敗だったし、これで終わり……かな?
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