coma

フランシス・ハのcomaのレビュー・感想・評価

フランシス・ハ(2012年製作の映画)
4.5
凄い完成度だと思います、私はとても好き…!

とにかく物語への引き込みが、凄く独特で。現代劇にも関わらずモノクロ。(白黒のスマホは新鮮でした)
細かくカットされる同居する親友女子二人の日常生活。どちらも相当に変わり者らしい。
オーイ美女!と呼び合う2人の親友以上恋人未満の関係。
2人の世界と、それ以外の人と主人公のフランシスが対峙する世界の違い。描き方が見事です。

大きな出来事は起こらないものの、少しずつ世間とズレていくフランシス。その少しのズレの重ね方がうまい 。
例えば使用される音楽も妙にレトロでコミカルなのですが、スタイリッシュになりきれないフランシスのキャラクターに合わせた選曲なのでは??オシャレだけれどズレている。違和感が拭えない。というのもポイントですね。

初めの方こそ間の悪さが微笑ましいのですが、後半になるともう笑えない。いつの間にか遠くに来てしまった27歳のフランシスのリアルな孤独に押し潰されそうになりました。


舞台(フランシスの居場所)はコロコロ変わりますが、そのどれもが身の丈にあってない感じ。または、持て余す。
大人になりきれず、夢を捨てられず、自らを何と呼べばいいのか分からない。
これどうするのよ?どうオチつける?とハラハラしながら見守るかたちになりました。

そもそも「フランシス・ハ」のタイトル。これは一体どういう…?と思わせておいて、その種明かしで完全にノックアウト。
どのように世界に自分が存在するか。
窮屈な、また持て余してしまうような世界にどのように身を置くのか。
フランシスの方向性と解答をあんな方法で提示してくるとは…やられました。
最初から最後まで無駄のない作品。


あとフランシスが突然人生に求めるもののを語り出すんですけど、あのシーン秀逸すぎませんか。いいセリフだった。
coma

coma