Kazumi

リトル・フォレスト 夏・秋のKazumiのレビュー・感想・評価

3.0
あまりに機械化されてなくて、しんどい田んぼ作業…と思ってしまった。
除草剤すら使わないのはヤバい。

淫靡な米サイダー。
コカコーラも三ツ矢サイダーもいいけれど、こんなに甘美な魅力はない。

自分の言葉で話す人を尊敬する。
そのことの難しさを理解する。
でもそれは畢竟、反知性主義に繋がるのではと考えてしまう。
自分の言葉だけでしか喋れなくなった、好奇心のない、他者の範囲を広げようとしない大人たちが嫌になって田舎を飛び出してきた身としては、田舎暮らしがそんなにいいものじゃないと知っている。
食事と、適当なことをいうタレントが出るワイドショーが楽しみで、隣人のプライベートを芸能ゴシップみたいに仕立てて話すのが好きな大人たちが心底嫌いだったと思い出す。

「動物たちとの競争」というのは、これだけ自給自足に近い生活だと、即ち食い扶持の奪い合い。
リスだって可愛くても、あん畜生だとしみじみ思う。

肉っ気のない動物性タンパク質不足の食卓を不安に思っていたところで、鴨を絞めていて安心した。
きちんと自分の手でやる。
「人に殺させておいて、殺し方にケチをつけるような人生を送りたくない」という言葉に共感するし、そうなりたくないと思うほどには、私の根っこは田舎者。

現金収入がほぼなくて心配になってしまう。
住民税とか固定資産税とか健康保険とか国民年金とか、どうするんだろう。

映像は美しい。
稲穂の上を吹き渡る風は心地よさそうで、実際そうだと知っている。
友人から勧められて鑑賞したけれど、都会の人が描いた理想の田舎暮らし、という印象。
そんな結構なものじゃない。
Kazumi

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