Kazumi

長いお別れのKazumiのレビュー・感想・評価

長いお別れ(2019年製作の映画)
3.8
ゆっくり記憶を無くして老いていく父が、ときめきや宝物のような記憶を思い出させてくれることに泣いた。
介護している母のすっとぼけたところが物語を重くしすぎない。

不登校の孫は、タイトル回収に貢献したけど、孫自身の問題は明確に解決しないで終わる。
原作を読んでないのだけど、孫の存在は文章だといい感じのアクセントになってたりするのかな。映像だとモヤモヤする。

山﨑努が演じる父があまりにもおじいちゃんらしく、本当に介護が必要に見えた。
最近あんまりお見掛けしないので、心配になって現実の山﨑努の生存確認をしてしまった。お元気そうで安心した。
竹内結子は亡くなった気がしない。

以前は「明日の記憶」とか認知症がテーマの映画を見ても、認知症になったら大変だよな、くらいの薄ぼんやりした感想しか持てなかったのに。
親が五十を前にぐっと老け込んで、介護を現実のものと捉え始めたせいか。
老いる侘しさに実感がある。

ぽやっとした母でもその時は覚悟を決めていたようで。
父の死に際に娘たちを泣きながら叱ったように、覚悟していても、ボロボロと感情を止められない日が私にもいつか来るだろう。
Kazumi

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