開始3分で「オナニー」ってセリフが飛び出してきて、村上春樹原作だったと思い出す。原作未読。
劇中劇・ワーニャ伯父さんについて知らなかったのだけど、なぜこれが選ばれたのか分かるクライマックス。
なにがあっても生きていくのだと、腹を括る男の話。
オギャーと産まれた時には当然のことながら、誰も生きる覚悟はない。
生殖活動の結果、たまたま産まれただけ。
肉体は勝手に生きる。
自律神経は呼吸させ、腹が減れば飯を食い、眠くなれば寝るように仕向ける。
腹を括らなくとも生きられる。
けれど年を重ねるごとに、生きる覚悟もなく生きるのはただ苦しくなることを知る。
いっそ終わらせることも考えるが、死後のことは知らないでいる。
辛いと分かったうえでの決心は容易ではない。
それを得られたのは喜びかもしれない。
あらゆる禍福はその人だけのものなのだと知って、生きる男の話。