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アマデウスのcomaのレビュー・感想・評価

アマデウス(1984年製作の映画)
4.0
サリエリに心の底から共感するには、私には才能も努力も足りてない…サリエリがモーツァルトに抱いたような深い絶望と嫉妬と憎しみ、それらに身に覚えのある人を尊敬します。
いつの世にも天才は存在し、その影に何人ものサリエリがいる。
圧倒的な才能と、人を惹き付ける魅力を持ったモーツァルトを題材にしたことで、その苦悩は凡人の私にも伝わってきます…
モーツァルトってオペラも作ってたんだ!というレベルで無知な私です。自分の作品を自信満々に語るモーツァルトの語りが上手くて…「フィガロの結婚」今、すごく観てみたいです。そう、モーツァルトの熱弁に心を動かされてしまった皇帝のように。
モーツァルトの音楽が、演劇のシーンが本当に美しい。しっかりと聴かせてくれるので160分の尺にも納得です。

そんなモーツァルトを巧みに破滅に押し遣るサリエリを軽蔑するどころか、同情よりの共感を抱かずには居られないところにこの作品の凄みを感じます。
ついにサリエリがモーツァルトの音楽誕生の瞬間に立ち会うシーン。生気のないモーツァルトの指先から、口元から楽器の音が溢れ出る描写!震えてしまう。
サリエリの何百分の1かの衝撃が私にも走りました。

実際のサリエリは、こんな人物ではなかったと思いますが。同じ時代に生きた、対照的な二人の音楽家というだけで。
モーツァルトのレクイエム誕生のきっかけは、謎のまま。そこに実在の人物を絡める辺り随分とスキャンダラスな映画ですね。いつの世もライバル関係っていうと、ついつい勘ぐってしまうものですね。
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