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誘拐の掟のkissenger800のレビュー・感想・評価

誘拐の掟(2014年製作の映画)
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名前が載っていれば作品自体も好みに近かろう。と信頼する翻訳者のひとり、田口俊樹。なんですが彼の仕事の代名詞ともいうべきローレンス・ブロックは散発的にしか目を通しておらず、英語圏ミステリ界隈では名高い本作主人公マット・スカダーも実にこれが書籍含めはじめまして。

見終わって思ったのは、出来のわりに正当な評価をもらえていないのはどうせリーアム・ニーソンでしょ? と誰もが即断するせいで生じるマイナスと、その主演俳優が身にまとう空気によるプラスが行って来いになっていて、つまり埋もれても仕方ないかー。

映画尺におさめる都合でバカ映画プロットになっているのに全体のトーンは(たぶん)原作を反映してシリアス調って居心地の悪さ。デヴィッド・ハーバーも無名に近い頃だから主演以外よく分からない状態だし、ニューヨーク映画ではあってもブルックリンが舞台なせいでひとが期待するような観光案内要素は皆無だし……強いていえば「あ、ジョーカー階段」って使い方を5年前にやってるのがアピールポイントだけど、まあ地味な取り柄よね。

ただ、繰り返しになるけど主演の出演作でいえば『フライトゲーム』(2014)と『96時間/レクイエム』(2014)の間に公開されて存在感を失っているのは、単品として両作に劣るとはまったく思えないだけにもったいない。ええ、自分の視界に入ってなかったことをちょっと棚に上げすぎだけどな、俺。
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