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ジョン・ウィックのTnTのネタバレレビュー・内容・結末

ジョン・ウィック(2014年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

 2014年の作品か、つい最近も続編がで続けてるせいかそんな前だと思わなかった。このチャド・スタエルスキ、フィルモグラフィがジョン・ウィックだけなのがおもろすぎる。今作観終わって、そんなボコボコ続編が作れる代物じゃないだろと思ったんだけど笑。しかし、スタエルスキは「マトリックス」でキアヌのスタントを演じた人物で、兼ねてから親交はあったのだろう。いやむしろずっとそばでキアヌをみてたからこそ、キアヌをもっとよく撮れると踏んだのだろう。その意味では今作は成功し、キアヌをまたアクションの世界に返り咲かした。今じゃ57なのにまだまだジョン・ウィックシリーズをやらされるキアヌ凄い。

 冒頭、ラジオの音で始まるが、シリアスめな洋画ってなんかラジオ音声から始まりがち。その後案の定ただごとじゃなさそうなキアヌが車ぶつけて血まみれで出てきて、スマホを見たかと思うと妻との思い出を見つめてその場で横になるという…。しかし思わせぶりなシーンだが終盤このシーンが反復されるとき、別にそこまで重要じゃないことがわかる。よくある物語終盤を最初にもってくるやり方である。それよりも驚いたのは、自分が死にそうになった時、スマホを開くということだ。もはや走馬灯もいらない、だって映像として手元で確認できるから!これ今までの映画の死ぬ前の描写に革新を起こしてしまうのではと思える斬新さがあった。

 肝心な物語はもちろんツッコミどころ満載である(沢山あるが各々ツッコミしていただいて…)。「たかが犬と車じゃないか!」と怒るボスのセリフにごもっともと思う。しかし、ジョン・ウィックの復讐心の高め方は相当ストイックで、家で襲われてすぐのフラッシュバックでは、暴漢に襲われるフラッシュバックと、それとは関係ない妻の病気のシーンが交差され、さも妻の死は暴漢かのようにおもわせている。またホテルで一人妻の映像を見つめ返すのも、その復讐のエネルギーを高めているかのよう。どんな心の葛藤もなくバッタバッタと死んでく人に、これなんで戦ってんだという疑問を置いていったまま映画は終わる。スゲーなおい。スマホがつまり過去の幸福を閉じ込めて置いていたがために、ジョンはあれほど激昂できたのだ、そう考えられないだろうか。暴漢はついでにスマホも破壊すべきだったのだ。いやもっとやばいかそれは。とにかく、みんな金持ちの坊々は嫌いなのだ(ましてロシア人となればアメリカ人にとっては余計に)。

 ガンカタと呼ばれる新しいアクションスタイル。これは「マトリックス」での銃撃戦と体術を両方同時に見たいという欲求から生まれたのではないだろうか。そんな今作、どことなくマトリックスじみた箇所もあって、ラストで敵と戦うところの大雨は「マトリックス3」のラストの空中戦を彷彿とさせる。また度重なる都市を上空から捉えたショットもマトリックス的な都市風景を思わす。監督のキアヌ愛を感じた。
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