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イヌミチのmareのレビュー・感想・評価

イヌミチ(2013年製作の映画)
3.5
一見して束縛に見えることが、当人にとっては思考や義務感からの解放として機能する逆説的なアプローチ。仕事も結婚も誰かと会話を交わすことも何もかもを放棄したくなるときが生きていれば必ず訪れる。首輪を嵌めれば飼い主がエサを与えてくれるし、人間のように考えることに追われることはなくなるが、選択できる自由が限りなく狭まってしまう。都合の良い解釈をしたがる人間はその時々によって動物になりたがる。早い話がどちらの立場であっても楽になりたいという願望そのものが切り取られた映画だった。業を背負った人間のいっときの現実逃避、社会のシステムの一部と化している自身の無責任な逃げ道こそがイヌミチ。
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