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胎児が密猟する時のstのレビュー・感想・評価

胎児が密猟する時(1966年製作の映画)
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若松孝二×足立正生。梅雨で外の撮影ができないから密室劇撮っちゃおうっていうノリで作られたとは思えないほどには引き込まれた。山田玲司がエディプスものというか胎内回帰願望について語る時によく参照してて、ずっと観たかったからなるほどこういう内容なのか、と。
旧約聖書のヨブ記(=出生を呪い、苦痛のために胎内へ回帰したい)の引用に始まり、室内(=胎内の象徴。雨や酒、風呂は羊水を彷彿とさせる)で"密猟"を企てるものの失敗に終わる。痛みと苦しみにより表現される、山谷初男演じる丸木戸の「救われなさ」は、キムギドク監督の初期作品群における主人公の「救われなさ」に通じるものがある。(キリスト教をベースにしているという点も。)
「明日天気になれ」は、さっさと梅雨が明けてほしいという願望なのかと思うと何かちょっと笑えてくるが、ほぼ室内だけで撮って70分もたせるのは流石だなあと感じた。
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