KANA

ショート・タームのKANAのレビュー・感想・評価

ショート・ターム(2013年製作の映画)
3.8
児童虐待など荒んだ家庭環境が背景にある作品ってズーンと重くなりがちだけど、この映画は観終わると温かく希望に満ちた余韻に浸れた。
グレイスの温もりがすごくよかったなぁ。子供たちの心に寄り添うのが本当にうまい。彼女はそれぞれの子の事情を熟知しているのはもちろん、何をどんなタイミングで求めているのかを敏感に察知する。ジェイデンに手作りプレゼントを渡す時のさりげなさとか、タコとサメの童話の後、彼女の心の闇の核心をノックして優しく肩に手をまわすところとか、じわ〜っときた。
スタッフと子供たちとの関係とともに、恋人同士のグレイスとメイソンの関係も温かく描かれていて微笑ましかった。
愛というと大げさだけど、人間の温もりをそこここでじんわり感じさせながらそれぞれのエピソードをドラマチックに、感傷的にし過ぎず、ユーモアも交えながらやや軽快に仕上げているバランス感覚が素晴らしい。完璧な人間なんていないし、つつがない人生なんてない。だからユーモアが大事なんだよ、って言ってるみたいで。
ラストに語られる出所後のマーカスの話がまた嬉しくなるね。
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