T太郎

守護神のT太郎のレビュー・感想・評価

守護神(2006年製作の映画)
3.7
726
米軍に沿岸警備隊という部隊がある。
軍人だが、海難救助を専門としている組織だ。
これは、その沿岸警備隊の中の救難士の物語である。

本邦の「海猿」を想起させる映画だ。
調べてみたら「海猿」の方が先発だった。
パクったパクられたの話がしたい訳ではない。
「海猿」のオリジナリティが確認できて安心したのである。

アシュトン・カッチャー扮するアッシャーという青年が救難士の養成学校に入校する。
そこで出会った教官が、ケビン・コスナー扮する、伝説のベテラン救難士ベンだ。

ここでの訓練場面が素晴らしい。
ベンは豊富な現場経験を踏まえた、実戦に即した独自の教育を実践していく。

こういう教育は決まったカリキュラムがあるものだ。
それはそれで丁寧に考えられた教育計画だとは思うのだが、ベンのやり方は即戦力を育成するものなのだ。

最初は反発していた他の教官たちもベンのやり方に共感していく。

実はここがいい。
普通はここで様々な確執や衝突があるものだが、そんな場面はほとんどなく両者は融和していく。
実に気持ちがいい男たちだ。

アッシャーは生意気で自信満々の若者だ。
彼の物語は「愛と青春の旅立ち」そのものである。
なので、その部分は割愛する。
気になる方は「愛と青春の旅立ち」の方をを観ていただきたい。
(いや、この作品を観ないと)

私はアクション映画などで主人公が、名もなき市民を必死に助けたり、守ろうとする場面が好きだ。

アクションの凄さを見せようとするあまり、人命を軽視したような演出をたまに見かけるが、そういうアクション映画を私は評価しない。
(偉そう)

この作品の登場人物は“死んでも守る“と叫びながら、必死の救助を見せてくれる。
命の選択を迫られたり、助けられなかったり辛い場面もある。
命をないがしろにしない、いい映画である。

海難救助や山岳救助は大変だ。
過酷な状況下、命の危険を顧みず遭難者の救助にあたる彼らには、尊敬の念しかない。
誰にでもできる事ではないのだ。
是非ともお給料アップをお願いする。
T太郎

T太郎