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ビッグ・アイズのRyuのレビュー・感想・評価

ビッグ・アイズ(2014年製作の映画)
3.6
男性優位な1950年代。マーガレットは夫と別れ、娘のジェーン連れてサンフランシスコのノースビーチにやってくる。そこでバツイチの画家 ウォルター・キーンと出会い、まもなく結婚。マーガレットは大きな目の子供の絵を、ウォルターは風景画を描いていたが、マーガレットの絵が“ビッグ・アイズ”として一大ブームになる。しかしウォルターはそれを自分が描いたことにして、それを売り込んで画家として成功していく。

ティム・バートン監督作品ということで、どんな世界が描かれるのかなぁ と思ったら、まさかの実話もの。しかも見ててキツいタイプの作品です。
序盤は、鮮やかな色で表現された50年代のアメリカの街並みはキレイだし、マーガレットとウォルターの仲睦まじい様子に微笑ましく思っていました。しかしどんどんウォルターのヤバさが前面に出てきます。虚言で妻の作品を奪い、ゴーストペインターを強要する様子にはイラつかされましたが、話が進むにつれて、そのヤバさはひどくなっていきます。万博後の家でのシーンなんか、「シャイニング」のジャック・トランスのようでした。クリストフ・ヴァルツってこういうねちっこいイヤな奴が似合いますね。終盤の法廷のシーンでの寸劇はもはや憐れにさえ見えてきて笑っちゃいました。ウォルターは間違いなくヤバくて最悪な奴なんですが、マーケティング能力やコミュ力は優れているし、確かにマーガレットだけだったら、ビッグ・アイズはここまでのものにはならなかったかもしれませんね。
この映画ではマーガレットを主人公としているので、ウォルターが悪者になっていますが、彼女には1ミリも責任がなかったか と言われると、頷くことはできません。まず、バツイチで子持ちなのに、結婚までが早すぎる。しかもエンドロールで、その後また結婚してることが語られており、彼女は恋愛気質なんだと思いました。さらに終盤の訴える要因となったのは、何やら怪しげな宗教。マーガレットという人は責任感ってものがちょっと弱いのかなぁと思いました。
すれ違う人々の目も大きく見えてしまうところとか、色鮮やかな映像など、所々ティム・バートンっぽさが垣間見える部分はありました。クリストフ・ヴァルツが演じたウォルターのヤバさもあってか、ちょっとスリラーチックな要素も感じられました。内容が内容なので、心に響くとかはなかったですが、この実話自体がおもしろい話だと思いました。
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