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誰よりも狙われた男の655321のレビュー・感想・評価

誰よりも狙われた男(2014年製作の映画)
3.4
『裏切りのサーカス』の原作者ジョン・ル・カレが原作を書いたスパイ映画。

目的のためには手段は正当化されるのか?
という人間社会での普遍的な問題を二元論的な方向へ歩まずに、重厚な絡み合いをみせる。

フィリップ・シーモア・ホフマンは悪役が似合う。彼の最後の主演作である今作でもアクの強い役だ。
その豪腕は多くの人に疎まれながらも、ビジョンがあり真心がある。
彼の節々に真心を感じた瞬間、主人公としての輝きは眩いばかり。
だが、彼はやはり悪役なのだ。
この社会は良くも悪くも少年マンガ的であり、彼は主人公にはなれてもヒーローにはなれないのだ。

最後の最後に感情を爆発させる咆哮、そして去っていく後ろ姿にはフィリップ・シーモア・ホフマン本人の姿も重なり、より強く響く。
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