こたつむり

メイズ・ランナーのこたつむりのレビュー・感想・評価

メイズ・ランナー(2013年製作の映画)
3.5
前3、左8、左4、右5、左2、右5。

四方が高い壁に囲まれた世界。
記憶を失った主人公たちは、この場所から脱出することを試みるが…眼前に聳えるのは時間制限付きの迷路。はたして、彼らはこの世界から脱出できるのか…という物語。あらすじだけ読んだら大好物の設定でしたので、ゲゲゲと変な声を出しながら臨みましたが…。

これって最初から続編ありきの作品なのです。
迷路が存在する理由。
記憶を失っている理由。
迷路の向こう側の世界の謎。
終盤でふわっとした説明はありましたが、完全な形で伏線は回収されないのです(ちなみに、一番気になる謎は、何故、“彼”が追いついたのか…ということ)。

勿論、続編の存在は知っていましたよ。
でも、連続ドラマならぬ連続映画の態だったとは…想定の斜め上を行っておりました。大枠としては決着しているのですが、正直なところ、消化不良の気持ちは否めません。

ただ、作品が持つポテンシャルは高いのです。
閉ざされた空間で生活を築く部分は、『十五少年漂流記』のように人間ドラマを織り成す予感に満ちていますし、迷路の向こう側にある“謎”は適度に好奇心を煽ってきます。この緩急が巧みなので退屈せずに物語終盤まで惹き付けられると思います。

そして、あらすじで判るように。
物語の下地となる部分は“ゲーム”のよう。
画面左下に体力ゲージが存在しても違和感がないくらいです。正直なところ、二時間程度…という時間に縛りがある映画よりも、ゲームで表現するほうが向いている素材なのでしょう。そもそも迷路って単純に遊ぶだけならば、広く浅く…よりも狭く深くのほうが楽しめますしね。

まあ、そんなわけで。
映画は単体で完結させるべき。
…という拘りさえ捨てれば、それなりに楽しめる作品だと思います(勿論、過度な期待は禁物。原作はティーン向けの小説ですし)。三部作の序章としては成功の部類に入るでしょう。

ただ、逆に言えば。
次回作へのハードルが上がったわけですからね。この期待感を上手く繋げることが出来るかどうか…見ものでありますな。

To be continued…→→→『メイズランナー2/砂漠の迷宮』
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