emily

0.5ミリのemilyのレビュー・感想・評価

0.5ミリ(2014年製作の映画)
4.3
介護ヘルパーのサワが、おじいちゃんと寝て欲しいと言う依頼を受け、事件に巻き込まれる。結果、仕事も家も失ってしまい、旅をしながら問題のあるお年寄りの押しかけヘルパーをしながら、人との距離感を見せるヒューマンドラマ。

安藤姉妹に父奥田瑛二がエグゼクティブプロデューサーを務める。高齢化社会の現代問題をヒーロー的なアプローチで、決して重くなることなく、距離感を保てる人としてサワを描いてる。それを演じる安藤サクラの表情がころころ変わり、時に可愛く、時に男らしく、七変化する演技が大きな軸となっている。

オムニバス的にいろんなおじいちゃんが出てくるのですが、やはり一番初めのエピソードがかなり印象的で、冒頭から度肝を抜かれる。しかしそのあとの物語はサワの手のひらで転がされるように、よい意味で操られ、自活していくあったい物語が続く。そうして何より年配の人たちとの別れの部分がきちんと処理されているのが良かった。

安藤サクラの魅力をここまで引き出せる作品は他にないと思う。その表情の変化に、監督の伝えたい熱がしっかり乗った、それでいてアクもある程度中和されているので、最後まで飽きずに楽しめる。

ラストの物語がまた集大成みたいな切り口で、驚きの秘密も隠されており、人と人との距離感について学んできた結果がよく描かれており、あらためて人とのつながりを考えさせられる。

0.5ミリ、ほんのすこしの歩み寄り、近すぎても離れすぎてもいけない。その必要な距離感は相手によって変わる。人との距離のはかりかた。それは人とつながる経験により、掴めるようになるのでしょう。
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