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Mommy/マミーのemilyのレビュー・感想・評価

Mommy/マミー(2014年製作の映画)
4.5
ADHD(多動性障害)という病気のため情緒不安定で、時折手が付けられないぐらい暴力的になってしまう15歳のスティーブと絶対無二の愛情で結ばれてる母親の生活に近所の教師休職中で、吃音に苦しむカイラという女性が、二人の関係を中和し、ひと時は穏やかな時間を取り戻すが・・

独特のフレームワークで、見せたい物だけを映す、登場人物の心情の移り変わりをしっかりと映し出す。1対1のアスペクト比で閉鎖的な親子の日常を、そしてカイラが加わることで、見せる見事な三角形が奥行きのある立体的な形を作り出すのも、この画面ならでは。顔の重なり方だったり、どこまでも続く道だったり、見事に正方形の画面が行かされている。

そうして仲介者により、3人に心の穏やかな時間が流れるとともに、16対9へと画面が広がっていく。この瞬間の解放感は、3人の心の解放感を体感しているようだ。またPVのような幸せな時間も長く続くない。また元の窮屈な画面に戻る。

親子の愛とは。
一緒に居るだけが愛ではない。
時には突き放し、見守ることも大事である。
愛もバランスが大事で、愛しすぎると、ただ求めてしまい、お互いを傷つける結果にもなりかねない。やはり何でも過ぎる物には代償が大きい。

離れていても、どんな障害があっても、その愛は変わらないし、どんな時も自分の味方になってくれるのは親である。離れていてたまに会うような関係がちょうどいい。

やはりフレームワークや映像、音楽の使い方、表情の見せ方など監督の冒険心を詰め込んだエネルギッシュな映画であることは間違いない。
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