マルメラ

365日のシンプルライフのマルメラのレビュー・感想・評価

365日のシンプルライフ(2013年製作の映画)
3.0

全てのものを倉庫に預けて、文字通り裸一貫からスタートし、1日1個倉庫から物を取り出せる。
という設定に惹かれて鑑賞。

結論から言うと、その魅力的な設定を活かしきれていなかった。

ドキュメンタリーチックに撮っていることへの多少の違和感はあるが、そこには今回のレビューでは言及しません。
単に自分の想定と違っただけなので笑

この映画80分という短めの作品なのに、多少中だるみした印象をお持ちの方が多いのではないかと思います。

自分が考えるに、その理由としましては、葛藤が無いからだと。

この主人公は最初から最後まで、「実はものいらねぇーじゃん」精神で貫かれてまして。
それが伝えたいことなのは分かる。
でも、実験を始めてすぐその精神になってしまい、障害も起きずに事が進んでいくので退屈に感じた。

おそらく、ジャケットを選ぶあたりまでは楽しめたが、途中からどうでも良くなり、最後には設定どこ行った?と頬杖つきながら観た方多いんじゃないですか?

途中、持ち物が無いことで生じる問題点を主人公に葛藤として与えるべきだったんです。
例えば!
①バーに飲みに行って、女性に一目惚れしたが連絡先が無いから次に繋がらない。
翌日、倉庫から携帯を取り出してくるがそのバーに連日通っても一向に女性は現れない。とか

②友達でも家族でも急に倒れたか、救急車で運ばれた。
でも、主人公は携帯を持ってないから連絡がつかない。
友達より家族より実験が大事なのかよ!と責められる。とか

③好きになった子と良い感じになるが、家に誘ったは良いものの、部屋に何も無い。
避妊具すらない。とか

この映画の一番の魅力である設定を活かした葛藤をこの映画の主人公に与えるべきだったんではないかと。

①で書いた例を使うならば、携帯が無いから咄嗟に住所を聞いて、必死に暗記。
手紙でやり取りをするようになる。
とした場合。
物が無いなりの恋愛を提示することで、現代を生きる私達に昔ながらの恋愛の良さみたいなものを伝えられる。
また、文明が発達して想いを伝えやすくなったのにも関わらず、現代人の方が想いを伝えていないことに気づく。
みたいな展開に出来るわけじゃないですか。

ということで、この設定を考えたということでスコアはギリギリ3.0。
映画として面白かったかと言えばNO。
もう一度見るかと言われれば拒絶。
マルメラ

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