ブタ野郎

めぐり逢わせのお弁当のブタ野郎のレビュー・感想・評価

めぐり逢わせのお弁当(2013年製作の映画)
3.7
かなり良かった!

お話の構成は淡々としているけれど、展開を追うごとの主役たちの感情の機微が物凄く丁寧で物語への没入感がえげつない。

ダイナミックさはほぼ無いけれども、静的に進む物語の空気は個人的にめちゃくちゃ刺さった。
誇張された芝居などのエンタメ性ではなく、あまり動かない表情が画面にずっと映っているからこそ、ここぞの喜びが胸いっぱいに伝わる。

基本ドラマ重視な印象で、お互い文通だけを交わしていくのはロマンティックで素敵。お互いよエピソードもしっかりあってメインストーリーだけでなく、サブも充実していた。上の階のおばさんはかなり良い。顔が映らなくて声だけでしっかりキャラクターが映るというのが素晴らしい。キャラクターの情報量がそこまで増えなくて全体通して見やすい、整理しやすい映画。

個人的に惜しむべきは料理シーンと食事シーンの少なさ。少なさというかもう少しガッツリ映してガッツリ食べているシーンを見たかった。
ドラマは大事だけれども、映像的な魅力の太い筋としてお弁当作りと食事は欲しいところ。

顔も知らない人にお弁当を作り文通というロマン溢れてそこからのベタな展開というのも共感力高くて楽しい。そして最後の手紙の感謝が良かった。
しっかり最初にお弁当を送り続ける意味に掛けて、尚上回る感謝がグッと来た。
終わり方の潔さも好き。ラスト付近にサジャーンが聞き込みして電車で配達人といるところでテンション上がっていってのパッと暗転。クレジット。
超クール。

見終わった後に良かったねと微笑みが出た。

期待も不安もなく、なんとなく見始めたコンディションもあってか、かなり良い映画だった!
ブタ野郎

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