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ある優しき殺人者の記録のStroszekのネタバレレビュー・内容・結末

ある優しき殺人者の記録(2014年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

クトゥルフのタイムリープもの。『コワすぎ!』シリーズの「トイレの花子さん」や「史上最恐の劇場版」で用いた手法と同じである。

サンジュンはこれまで25人殺している。その理由は、「27人殺せば幼い頃に交通事故で亡くなったユンジンが生き返る」という「神の声」に導かれた、というものだ。1人のために27人殺すという論理は一見気狂いのものだが、彼の発言を裏付ける予兆や出来事が次々と起こる。

しかし、数が合わないのでは、と思ったのでメモ。

マンションへ来るまでにサンジュンが殺した人数25名。

マンションで間違えて殺した人数2名。

最後にソヨンと自分を殺すので2名。

サンジュンは計29名殺していることになる。

クトゥルフの神はあまり数には拘らないのだろうか。それとも、「神の声」に導かれて殺した訳ではない2名はカウントしないのだろうか。

それにしても、「何があっても止めるな、撮り逃しても殺す」、「映画の力を借りて真実を告げる」といった発言には、白石監督自身の哲学が表れているように見える。私には白石監督の映画がいつも「奇妙な儀式」のように思える。

韓国語と日本語が交互に話される2言語映画。白石監督が韓国語を話してるのに感動した(上手いか下手かは分からないが)。

[鑑賞メーターから転載]

2014年。物凄い緊迫感で一気に見せる。大量殺人を犯した脱走犯、彼の行いを記録することになった記者と日本人カメラマンの物語。ほぼ密室劇だが、殺人の理由、記録させる意味、日本語の必要性といった謎や、奇妙な予兆の数々で目が釘付けになる。「映画の力を借りて真実を告げる」という台詞に表れている通り、この媒体であることが大きな意味を持つ。観客は奇妙な儀式の目撃者であり、観客だけがサンジュンの正当性を認識することになる。果たして彼の「殺人」を「優しさ」と言い切っていいものか、アクロバティックな結末には疑問が残る。
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