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ザ・ロストシティのStroszekのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・ロストシティ(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

知性に性的魅力を感じる人のことを「サピオ・セクシャル」というのを初めて知った。そういう言葉があるんだ(ずっと『SHERLOCK』でアイリーン姐さんが言ってた"Brainy is the new sexy"で代用していた)。

最初の作家エージェントとのやり取りが好きだったので、終始あのテンションでロマコメをやってくれたらよかったのだが、後半は普通の冒険譚になってしまって失速。

ハーレクイン物と思われるロマンス小説の女性作者とカバーモデルの男性の恋愛譚ということで、《男性=知性/ 女性=美》という冒険譚における性別役割を逆転させている。

ブラピはすぐ死ぬ役で出てくれていい人だなあ、と思ったが、同年公開の『ブレット・トレイン』でチャニング・テイタムとサンドラ・ブロックがカメオ出演してくれたことの等価交換なのかもしれない。

元ハリー・ポッターのダニエル・ラドクリフが弟に後継者の座を奪われた富豪フェアファクス役で出ている。特に暗躍の山場もなく、最後になんなく制圧されてしまう。「子どもみたいな小男」と呼ばれており、子役の頃にもう一生働かなくていいくらいの財産を稼いだ人はイジられ耐性高いな、と思った。

夫と死に別れたマイナー言語を研究する学者の生き直し、みたいな重いトーンと、物語の軽佻浮薄さが合わない。普通に「失恋したロマンス作家」じゃだめだったのか…。豪華キャストを集めたからと言って物語が抱腹絶倒の面白さを獲得する訳ではないことのお手本みたいな作品。しかしこのようなロマコメ映画は絶対に世の中には必要なので、製作されたこと自体を支持したい。
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