かつては『霊幻道士』で名を馳せたアクションスターながら、落ちぶれた現在は妻子と別れた事で自暴自棄になって死に場所を求めて彷徨うチン・シュウホウ。亡霊が出るとの噂が絶えない団地に訪れて悪霊に憑かれた所を道士ヤウに救われた彼が、ヤウの教えに導かれて団地に起こる怪奇現象の解決に臨む様を描いたアクション・ホラーです。
中国古来の妖怪「キョンシー」を世界的に有名にしたコメディホラー『霊幻道士』シリーズを『呪怨』の清水崇プロデュースでダーク・ホラーとしてリブートした作品で、過去シリーズに出演したキャストを集めるオールスターをマネジメントした歌手出身の映画監督ジュノ・マックが評価されて金馬奨では新人監督賞にノミネートされました。
色味を抑えた映像を駆使して王道ホラーを目指していて、どこか憎めないホラーキャラでなく呪いの力による「動き出す死体」としてのキョンシーを貫きます。ホラーとしては不穏な雰囲気はありつつも恐怖描写はそれほど多くなく、ヒーロー誕生譚としても練り込みが不足していますが、終始晴れない不気味な雰囲気で推進力を保つ一作です。
