HicK

海街diaryのHicKのレビュー・感想・評価

海街diary(2015年製作の映画)
4.3
《居場所。切り取った日記》

【いい雰囲気】
鎌倉の風景に合わせて、ゆっくりと心地よく進んでいく物語。淡々と何も考えずに見れてしまう作品だが、登場人物それぞれの立場になって気持ちを推察してみたりと面白みもあった。

【サチとスズ】
長女のサチ、末っ子のスズは似たもの同士。納得の設定。二人とも両親が同じ境遇で、お互い長女。大人の中で育った者同士。子供時代がない。「スズ、お姉ちゃんみたい、末っ子なのに」というセリフがスッと入ってきた。ラストシーンのツーショットも、この物語の答えはこの二人が持ってるんだなと納得。それにしても、サチの「相手がいる人を好きになって無意識に親と同じ道をたどる」展開は、結局父親のような優しい人が好きという点に切なさを感じる。

【画的に】
画面に映し出される姉妹の姿と鎌倉の背景が綺麗。姉妹たちの横顔、風呂上がりの素顔や夏の汗ばむ肌の感じ、リアル。鎌倉の背景は桜、アジサイ、夏の緑など、四季の風景がとても美しい。

【キャスト】
文句なしに俳優陣は素晴らしかった。安定のキャスティング。綾瀬はるかのトーンダウンさせた演技は"真面目でしっかり感"があって良かった。長澤まさみの演技感を見せない芝居も好き。結局二人ともどちらの役でもハマっていたんだろうな。もちろん、夏帆と広瀬すずも良かった。

【ただ】
シーンをぶった切る、もしくは次のシーンが飛ぶっていう違和感はあった。

【総括】
「自分の居場所」に纏わる物語。四季を通し、彼女たちの体験をゆっくりと描く事で、タイトル通り切り取った日記を見ているような感覚になった。自然で生々しい、生きた日記。

現実的に考えるともっと苦悩を強調してもいいのかなと思ったが、程よいさじ加減でこんな姉妹実際にいたら素敵だなと思えた。それも俳優陣が素晴らしいからこそ。
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