塚本

海街diaryの塚本のレビュー・感想・評価

海街diary(2015年製作の映画)
2.0
退屈でした(;^_^A

物語に起伏が無い、とか…そんなことでは決してありません。

…昔、演出手法について武市好古氏が”インヴォルブ”と”スポンタニティ”という2つの言葉によって表現していたことを思い出しながら、ちょこっと書いてみたいと思います。

インヴォルブとは、”巻き込む”という意味で、さらに”巻き込んで熱中させる”、ということです。
フィクションだと思ってたかをくくっているうちに精神的にまきこまれて、他人ごとだと思えなくなるのはインヴォルブしてしまった証拠です。

そしてインヴォルブするためにはスポンタニティが必要です。
自発性とか自発的行為という意味ですが、それはアドリブとは違い、計算をいくらしてもそこからこぼれ出る、たくまざる何か、なんですね。

…この作品は、最初に古き良き日本映画(多分、ここでは小津安二郎的なテイストかな?)のイメージがあって、それを様々なパーツに分解して、今風にブラッシュアップを施して再構築しただけの…いわゆるマーケティング理論に基づいた、上辺だけの作品にしか見えんのです。

そこにはスポンタニティの入る余地などありません。
自発的にみせかけることは計算してやれるけど、すぐにメッキが剥がれてしまう。

そして全ての感情、あるいは価値観が相対化されたこの”美しい”世界は俺にとっては、まるで取っ掛かりのない世界であって、最後まで巻き込まれることはなかった。



…「ネブラスカ」というアメリカ映画の方がよっぽど地味で単調なのに、何故これほどまでに、心惹きつけられるのだろう……
塚本

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