円柱野郎

シェフ 三ツ星フードトラック始めましたの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

「アイアンマン」シリーズの監督を続投せずに、このインディペンデント映画を作り上げたファブロー監督。
観て納得。
大作系ではなかなか出せない情熱と想いのこもった良い映画でした。
ある料理人の転落と再生を、テンポのいい演出と気持ちのいいストーリーで楽しませてくれるけれど、その実「創作物を世に送り出す」という映画監督という職業人の姿ともダブる部分が多い。
新作料理を認めずに定番料理を出す様に口を出すオーナーは、映画で言えばプロデューサーか。
一流レストランが大作映画なら、フードトラックはインディペンデント映画。
料理評論家はそのまま映画評論家と思えば、明らかに主人公=監督という私的な感情が見え隠れする。
料理評論家の酷評の内容が「昔は良かったのに今や大衆に迎合して陳腐」などとは、何を指しているのか詮索もしてしまうが…w
「カウボーイ&エイリアン」?

さてそんなメタファーにニヤニヤしつつも、ドラマ面でも手堅い構成で楽しませてくれる。
人生の再生の話であり、親子の話であり、そしてロードムービーでもある。
色々な要素が盛りだくさんなのに、キチンと話が纏まっているのは上手いなあ。
SNSにしても、身を滅ぼす道具である一面を描きつつも、結果的にそれによって救われる面も描かれているし、ちゃんと理解しているって感じのスタンスが良い。

ジョン・ファブローの貫録はシェフと言われても納得の感じで、鮮やかな手さばきから作り出される料理は実に美味そう。
マーティン役のジョン・レグイザモも、仁義に厚い感じのキャラクターでいい助演だったね。
しかし一番のキモは子役のエムジェイ・アンソニーか。
この親子に幸せになってもらいたいと思わせるものがあってこそ、この映画は成功なのだから。
円柱野郎

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