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岸辺の旅のstのレビュー・感想・評価

岸辺の旅(2015年製作の映画)
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配偶者を失った妻がもの悲しげな生活を繰り返す中に夫が突如として再び現れ、夫との時間を過ごすうちに「幸せ」を再認識し、やがて覚悟が決まり1人立ちしていくという、展開としてはごく単純なストーリー。
しかし、細かなところで、例えば幽霊の存在/不在を仄めかす「光」の明暗、不思議な力を持つものとされる「水」や「滝」、彼岸への旅立ちを示す「火」と「煙」などの描写が演出として際立つ。
幽霊をモチーフにしているものの、作中を通してどこか人間臭い温かい雰囲気を感じるのは、白玉を作るところに物語の端を発したように、至るところに料理や飲み物が配置されているからだろうか。(食事の話を持ち出したり、お茶を準備するという件が反復されているように思うが、これも「人間的」な所作として幽霊への意識を弱めているのかもしれない。)
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