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バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)のemilyのレビュー・感想・評価

4.0
「バードマン」というヒーロー物の映画で一世風靡した俳優リーガン・トムソンも今は年老いて俳優としても落ち目であった。もう一度帰り咲くため自身で脚色した舞台「愛について語るときに我々の語ること」に再起をかけていた。降板した俳優の代わりにきたマイク・シャイナーは自分にはないリアリティのある生きる演技をしており、リーガンを脅かす存在に。娘ともうまくいっておらず舞台と現実が混同していき、さらには過去の栄光のバードマンまでが、目の前に現れて・・・

ワンカットが長く続く手法で、映画の中でまるで演劇を見ているような感覚に陥る。しかも舞台の裏も合わせて、終始流れるドラム音まで生きてる音のように、ドラムをたたいてる人が映し出されたりする。
舞台の生ものの演技を映像で最大限に映し出してる感じ。
ドラム音は心情を表しつつ、言葉をのせるようなリズムを刻み、また舞台感を演出している。

ワンカットのような撮り方により、現実と舞台が交差して、どこまでが現実でどこからが舞台なのかの境界線がぼやける。
それこそ舞台でのリアリティにつながり、舞台を生きるということになる。

舞台と自分が一体化し、昔のバードマンの栄光を超える。そうして奇跡のラストが訪れるのだ。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督といえば群集劇のイメージだが、今作は新境地を極めたブラックユーモアで舞台裏を描く、また自虐的なコメディになってるところも面白い。
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