チッコーネ

マルティニークからの祈りのチッコーネのレビュー・感想・評価

マルティニークからの祈り(2014年製作の映画)
3.0
ドラマ『ナルコの神』でファン・ジョンミンが演じた麻薬王チョ・ボンヘンが、一般人を運搬係として遠隔操作していたという実在エピソードの映画化。
チョン・ドヨン演じるヒロインとその家族の受難物語で、暗転の決定的瞬間までは駆け足、そこからラスト30分までひたすらに重苦しい展開が続く。
特に異国の地で、監獄生活から鬼レズ看守のレイプ未遂までを耐え忍ぶヒロインの境遇はまさに生き地獄、加えて仏韓国大使館職員らの怠慢や無関心が、赤裸々に暴かれる。
あまりに悲惨なので、過多な家族愛描写でさえ自然…、しかし監獄内の友人に外部から呼びかける場面こそ、彼女の孤独を最も痛切に表現、涙を誘う。

どこまでが実話ベースなのか測りがたいものの、渦中にKBSがドキュメンタリーを制作したことで韓国内の世論が沸騰し、突破口が開けたのは事実の様子。
その意味で『トガニ』ほどの功績はないものの、同時期に撮られた実話ベース社会派映画ならではの告発力に満ちている。