カイル

ニンフォマニアック Vol.2のカイルのレビュー・感想・評価

ニンフォマニアック Vol.2(2013年製作の映画)
3.7
vol.1に引き続き、ジョーとセリグマンの哲学的で文学的な対話が続いていく。
以下3章で構成されます。

第6章 東方教会と西方教会(サイレント・ダック)
第7章 鏡
第8章 銃

多分キリスト教徒であるかないかでだいぶ解釈が違ってくる類の話。
また心理学や精神医学に精通している人ならどんな見方をするのか興味深い。
過激なところばかりについつい意識がいってしまうんですけどね。
アフリカ系黒人をニグロと呼ぶジョーにそんな言葉を使ってはいけないとセリグマンがたしなめる。それに対してジョーは、言葉が禁止されるたびに民主主義の基礎が崩れる・・・と持論を展開し始める。人間の特質は偽善だ。正しいことを言う悪人を称賛し間違ったことを言う善人をあざ笑うのだと鋭く突いてくる。
本当この人たちの会話が飽きない。
でもこの映画合わない人は全然受け付けないでしょう。
しかし海外の女優さんって顔のくすみやしわやたるみをメイクで隠したりしないそういう勇気というか姿勢、尊敬します。
以下はちょっとネタバレありです。
















全てを語り尽したとき、それまで誰にもに理解されることがなかった孤独な性的疎外者であったジョーに新たな思いが芽生えてくる。

夜が明け陽の光が反射する・・・
なんという美しさ
父が「自分の木」を見つけたように
やっと私も「自分の木」を見つけたわ
自分の中の頑固さを総動員するのよ
セクシャリティーの排除を目指すのよ
ありがとう、セリグマン
あなたは私の初めての友達

で終わらないのがフォン・トリアー監督~!!!!
そう、変化はジョーだけにもたらされたわけではなかったのだ。
でもねあのまま終わってしまったら普通の映画になってしまう。らしくない。あの二人の高尚なやりとりはこの瞬間のためだったのか~と思いました。
凄い監督だ・・・
最後にベスト演技(インパクト)賞は、第3章のH夫人ユマ・サーマンにあげたいです!
シャイヤもトランスフォーマーのときなんかは何も思わなかったのですが本作ではシャイヤいいじゃないかと思わされました!
カイル

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