ベビーパウダー山崎

ロビンソン漂流記のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

ロビンソン漂流記(1954年製作の映画)
3.5
結果としての反植民地主義、テーマ性のある映画は撮らない。宗教議論ではなく、単なる対話の一つなだけ。求められた企画にもしっかりと応え、格好つけずにノラリクラリと素晴らしい映画を創造してしまうブニュェル爺さん。真面目な面してつまんない映画を撮って、社会的にどうのこうの言ってるようなダサい作家は見習ってほしい。
誰もいなくなり、連れてきた犬さえ死に、狂気に触れ、究極の孤独。人間性を保つのは他者との(通じ合える)関係性。ラスト、男が船に乗り、離れていく島から微かに聞こえてくるのは亡き愛犬の咆哮。良いです、グッと来ます。ようやく助かった希望だけではなく、その島での(過去の)消失も忘れず刻んでいく。浮かれるなってこと。ブニュエル映画は安易に「はしゃがない」。それが最高。