SSDD

チャイルド44 森に消えた子供たちのSSDDのレビュー・感想・評価

3.7
◼︎概要
スターリン体制のソ連時代。少年が列車の近くで惨殺されている死体が幾度も発見された。"楽園に殺人はない"として事故として済まされる。秘密警察の男は国家に追われる身になりながらも、親友の息子が殺されたことを機に殺人事件を追う…。

◼︎感想(ネタバレなし)
実在する殺人鬼アンドレイ・チカチーロを基に1950年台のソ連の中で描く。
サスペンスとして観はじめたのだが、猟奇事件としての重さよりも監視社会で誰もが投獄され家族を人質にされるようなディストピア世界観が強く描かれる。

もう殺人鬼追うどころじゃないくらいの境遇で、魔女狩りに等しい秘密警察の告発されたら終わり感が凄まじく気が気ではない。
中盤までは疲れるほどに"びっくりするほどディストピア!"で疲弊させられるため、正直何を観始めたのか忘れてた。

捻りとかではなくどういう展開になるのかまったく読めないため見入るのだが、兎角長いのでさらに疲れる。
なんの気なしに観たのでキャストにかなり驚ける。気骨のある人々の生き様を感じれるので悪くはない。ただなんか騙された気がする…。










◼︎感想(ネタバレあり)
・殺人鬼
結局戦争で精神を蝕まれた男が45人もの少年を手にかけるのだが、モデルの殺人鬼は57人殺したと自供していたらしい。
どちらかというとこの殺人鬼より国家体制の狂気と、犯罪を認めて犯人を探すより事故として処理しようとする方が恐ろし過ぎて霞んでしまう…。

・バディものに中盤から変わる
妻を庇って左遷され散々な目に遭った後に妻からは"お前が秘密警察だから結婚したんだ断れるわけないだろ"と言われたり、妊娠は嘘とか言われたりと散々な主人公の気の毒さ。

"もう別れてもいいけどとりあえず安全を保証したいから一緒に来てくれ"と言ったあたりから、2人でなんとかカバーしながら行動するし、抜け駆けしない根性見せる妻のキャストはノオミ・ラパスだわなと納得。そしてバディモノに変化してる。

終盤はバディで刺客返り討ちにしたり、ラスボスボコしたりともうプロレス。

やっぱりトム・ハーディの泣きそうな面構えは強いけど脆そうな役をやらせると映える。

・総評
序盤から絶望的なディストピア、中盤でバディモノのサスペンス、最後はバディアクションと変化が凄過ぎて長いんだけど何観てるのか映画二本分観たお得感が異常。
そして大量殺人鬼より国がイカれてるという狂気の映画で、何を主眼にしていいのかブレる面白さ。
全然おすすめしないけど、玉虫色のような変化を楽しめました。
SSDD

SSDD