Totoire

世界一キライなあなたにのTotoireのレビュー・感想・評価

世界一キライなあなたに(2015年製作の映画)
4.1
安楽死の議論は本当に難しい。日本だと「生きたいけど死んだ方が周りに迷惑がかからない」という推し量り思考が馴染みやすく、空気感として流れ出てしまった場合に集団圧力や社会圧発展しやすく、それらをテクニカルに防ぐ手段がないお国柄だから、民主主義国家とはいえ個人の尊厳や権利の尊重という考え自体が欧米のそれとはイコールになり得ないと個人的には思っている。欧州の国々では近年、次々に安楽死の合法化が進んでいてリベラルな風潮が確かにあるんだろう。でも作中ではしっかりと否定的な意見もあって「安楽死を認めよう!」に偏っていない表現がなされているのはとても良かった。一方でウィル(サム・クリフリン)の体験を通じて、苦し過ぎるこの世界で生きるのを諦めることは決して自殺や責任放棄とは違うというメッセージも同時に力強く発せられていた。残される人も辛い。ただの感動作品ではなかった。
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