KnightsofOdessa

第三世代のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

第三世代(1979年製作の映画)
4.5
[理念の消えた孫世代は意思と表象としての世界を漂う] 90点

役所に押し入ったメンバーが恐怖からチビったのを笑う他のメンバー。全く意味をなさない合言葉。どこまでも能天気なテロリストたちは"なんか爆破しよう"と話始める。当時活動していたRAFの残党はシュライヤー誘拐殺人やらルフトハンザ航空機ハイジャックやら色々事件を起こしていたが、バーダーやエンスリンを失って頭の取れてしまった集団は理念も感情もない暴力に身を委ねるしかなかったのだ。

しかし、ファスビンダーは彼らを愚かだとは思いつつも突き放したりはしない。メンバーそれぞれが無個性なテロリストでありながら個性的なのだ。そして、突き放すことも寄り添うこともしないばかりか、資本家や警察にまでその皮肉を向ける。しかしこれまでのファスビンダーと違って湿っぽくもならず後味スッキリ。これは一度見て損はないのではないか。

個人的にはシグラがネオンサイン見てるときの表情がエロかっこよくて何とも言えない感情を呼び起こされた。ポスターのピエロもシグラだった。気付かなかった。

追記
クレジットがかっこよすぎて逝った。
KnightsofOdessa

KnightsofOdessa