ごろちん

第三世代のごろちんのネタバレレビュー・内容・結末

第三世代(1979年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

難しい、というか敢えて難しい表現を使ってません⁈ 「意志と表象としての世界」ってどういう意味? あらすじにも「彼らも、我々も、もはや何も理解できない」ってもはやカオス!

たぶんこの時代の若者の多くは難しい言葉で政治思想を語ることにステイタスを感じていたのではないか。それは知性を持たない戦争に対する反動、特にドイツ人はナチズムに対する反動によって。

「第三世代」は戦後訪れた平穏な世界の中で、平和ボケしないためにはどうしたらいいのか、と漠とした焦燥に駆られた世代と言える。ある者はアーチストとして、ある者は革命家として政治活動に参加することが生きている実感に繋がっていたのかもしれない。劇中に登場する彼らの付け焼き刃的な政治活動は思想と行動のバランスが崩れ、最後はただの暴力しか残らなかった。

マオイズムをファッションの一部のように組み入れた若者たちが描かれたゴダールの『中国女』ほどシニカルではなくても、思想が行動に伴わない若者は結局道化師のように踊らされて利用されてしまうという悲劇を捉えた作品のように思えた。

それにしてもクレジットを最初に流して最後をぶった切る手法はめちゃくちゃカッコ良かった。
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