現代アメリカが行っている戦争への見方がこの1本で変わる。
傑作『ガタカ』や話題作『タイム』で「管理された未来」を描いてきたアンドリュー・ニコル監督（愛称にこるん）作品。
未来っぽいデザインの建物やイメージを駆使して低予算でSFらしく見せるのが得意な監督である。
本作でも流線型の無人攻撃機や、操縦ユニットである“箱”が整然と並ぶ基地、同じく砂漠の真ん中に造られた住宅街の記号的な“平和さ”など、これぞにこるんと言うべきルックス。
しかし、驚くなかれ本作で描かれるのは未来ではない。
悲しいけどこれ、現実なのよね。
ドローンを操縦する兵士もまた、顔の見えない誰か(CIAだけどな)に操られた存在でしかない。これはMUSEの最新アルバム『DRONES』のアートワークそのものの構図である。
どんなにゲーム的だろうと、命ぜられるがまま人殺しを続けて平気でいられるはずがない。
屈強な兵士が精神を病んでいく様をイーサン・ホークが好演している。
そしてエンドロール直前の1カット。
「全ての人類が監視された社会」を暗示して映画は終わる。こわい…
ちなみに同監督の作品はなぜか毎回ピチめのドレスを着たお姉さんが登場する。
欲求不満が服を着て歩いてるような格好をした奥さん（後半の急激なカジュアル化に笑う）と、軍服を脱いだらすごい空兵さん。えっろ。
