冒頭、如何にもロックミュージシャン然とした濃ゆいメイクでバーンと現れたメリル・ストリープがまるで魔女みたいで『イントゥ・ザ・ウッズ』でも始まるのかと思ったけどそういう話ではなく、かつてロックミュージシャンになる夢を叶えるために家族を捨てたメリル・ストリープ演じる母リッキーがひょんなことから家族の元に帰ることになる…というお話。
ストリープさん、見た目は少々辛いものがあるけど、ミュージカル映画もやってるだけあって歌は一級品で、イメージとはかけ離れたロックな曲も見事に歌い上げていて凄いなぁと思った。
と言っても別に「歌」が重要な映画というわけでもなく(邦題がまた誤解を招きそうだ)、あくまで主題は家族の再生。この機会を逃すまいと家族に食らいつく元母と、そんな彼女をなんとなく疎ましく思っている家族とのギャップが面白い…といえば面白いんだけど、もう1つヒネリが足りない感じもする。『ヤング≒アダルト』ではイタイイタイ女を描いていたディアブロ・コディにしては毒が足りず、最終的にちょっと美談すぎるところに落ち着いてしまったのが少々物足りなかった。リッキーに関してはもっとロクでもない人間として描いても良かった気がするなぁ。
ところで娘役のメイミー・ガマーという方、母役のメリル・ストリープと鼻のかたちがソックリで、よくこんな人見つけてきたなぁと思ったら本物の親子だったらしい。そりゃ似てるわ。
(2016.45)