くるぶし

キャロルのくるぶしのネタバレレビュー・内容・結末

キャロル(2015年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

日本では根強いBL文化があるためか、女性の方が割と同姓同士の恋愛に理解がある気もするけど、本作ぐらい女性同士の関係を掘り下げた作品はあまり見たことがなかったから、どんな気持ちになるんだろう…と客観的な目線で主人公ふたりの同行を追いかけました。

頭の先からつま先まで“ゴージャス”を身にまとうケイト・ブランシェットと、森の木陰からひょっこり顔を出すリスのようなあどけなさの残るルーニー・マーラちゃん。
このふたりをキャスティングした時点で、ほぼ成功なんじゃないでしょうか。
衣裳や小道具、社会的な立場などの設定、対比感が完璧。
お互いが心の穴を埋めるために、必然的に恋に落ちていく過程がごくごく自然で、そして圧倒的に美しく…どっぷりと甘美な世界観にひたれました。
言葉を交わさずとも視線で会話をするふたりのやりとりが、この作品が訴えるものすべてです。

夢見る夢子ちゃんのテレーズがキャロルに惹かれたのは、結婚をせまる恋人がいても結局“孤独”だったことが大きいんじゃないかと思う。
話が通じない相手と一緒に生活するほど苦痛なものはないし、そんな状況の中で、自身の夢である写真を撮ることをキャロルはすすめてくれた=自分を認めてくれた、と考えるのは当然。
自分の存在価値に頭を悩ませたり、誰かに認められたいという厄介な欲求は、テレーズの年齢だと思考の割合を大きく占めるものだから。

妻として母としてよくも悪くも辛酸をなめてきたキャロルが、娘への狂おしい愛情と執着を爆発させるシーンは圧巻。
隣の席の女子号泣w
終始一貫して信念を曲げない強さは男前すぎて、最終的にはスクリーンに向かって「抱いてください!」と叫びそうになりましたよ…。
それでいてニューヨーカーとして働くテレーズに見入る儚げな眼差し…なにそのギャップ、無双か。

見終わったすぐより、持ち帰って余韻に浸っていると色々考えてしまう作品。自分の嗜好もあわせて、誰かと語りあいたいぜ。
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