「ミステリー？ いいえ、違います（笑）。」
ご存知タランティーノの最新作。初の密室ミステリーと謳っているがそういう要素は余り無い。金田一みたいなのを期待してると肩透かしを喰らう。
予想する楽しみはあるっちゃあるが、予想が当たる人はまずいないってぐらい掟破りなコトをするので、まあミステリーみたいな楽しみ方はしない方が良いかも。中盤、ある人物がコーヒーに毒を入れるんだが、実際種明かしまでは予想する楽しみがあるのは事実。しかし種明かしされるとんなもん当たるかとなるコト必死。
しかもこの映画、約3時間あるんだが、一同が密室に集まるまでが長い。それまでは延々と吹雪の中での馬車の中でのやり取りが続く。そして一同が集まってから事件が起きるまでも長い。そして最初から事件が起きるまではいつものタランティーノ節、ほとんどが会話劇で続く。この作品に限ったコトでは無いが、タランティーノってなんか舞台を見てる感覚に陥るコトが多いな。今作は特に。別にけなしてるワケでは無く、それがタランティーノの魅力だしな。
無駄にグロいシーンも多いし、やたらと黒人差別も多いので、ハッキリ言って今まで以上に好き嫌いが分かれそうな本作だが、自分はメッチャ楽しかった。元々タランティーノの会話劇は好みなんだが、3時間の尺も全然飽きるコトは無かったし、登場人物が全員クズなキャラ立てもバッチリ。終盤の種明かしも許せない人もいそうだが、なんかココまでハッチャケてると不思議と許せる。
タイトルからしてミスリードなこの作品、タランティーノの中でもかなり好みとなった1本となった。
