NEWおっさん

余命10年のNEWおっさんのレビュー・感想・評価

余命10年(2022年製作の映画)
4.0
「好きになっちゃいけない」

小坂流加の同名恋愛小説を「新聞記者」の藤井道人監督が映画化。タイトルの通り余命があと10年の主人公の半人生を描く。言い方悪いけどこういう感動必死みたいな作品を取る監督とは思ってなかったので意外。いやまあ色んなジャンルを取れてこそだけど。

邦画十八番の感涙ジャンル、難病×純愛もの。今回は余命10年というまた微妙なトコを突いてくる。10年という年月を長いか短いか。そこをどう感じるかによって評価が分かれそうだが、自分はこの映画の描き方にも触れたからこそなんだがやっぱり切ないし短いと思った。これが60や70ぐらいの年齢なら逆に長いと感じるかも知れないが、主人公の茉莉は20歳。さあこれから生きていくぞと決意を新たにする年。ここから30までしか生きれないというのはやっぱり酷だよなあ。

余命が10年と分かってるから人を好きになっちゃいけないってのは気持ちは分かる。茉莉はちょっと自分に厳しすぎやしないかと思う。あらゆる自分への制約に雁字搦めになってる前半はなんつーか見てて痛々しかったっていうか。何故皆に言わないんだろうかと思ったが、そういう性格だからこそ人に同情されたくないんだろうな。

あくまでも個人的な思いだが、それでもやっぱり恋人には伝えるべきだったんじゃないかなー。あんな瀬戸際に言われたらそら相手もショックで崩れ落ちるよ。自分を救ってくれた人だからこそ余計に早めに言って欲しかった。

っていうかこれ実話ベースなのか。原作者は亡くなっていて半自伝みたいな小説が原作だったのか。それを知ると余計に泣ける。