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博士と彼女のセオリーのGreenTのレビュー・感想・評価

博士と彼女のセオリー(2014年製作の映画)
3.5
どーせオスカー狙いの伝記的メロドラマなんでしょ!と思ったら、号泣させられました。

インテリだけどダサダサの理系男子に魅かれる文系女子・・・。わかるなー。またスティーヴン・ホーキングを演じるエディ・レッドメインと、ジェーンを演じるフェリシティ・ジョーンズがすごいお似合いなので、ほんわかする。

それが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断された後、スティーヴンがジェーンに会いたくないって気持ちも痛いほど分かるし、彼が本当に身体が動かなくなってるのを見るジェーンが涙ぐんでいるところ、ガチで号泣!好きな人が苦しんでいる姿を見るってのは、本当に辛い。

ジェーンがスティーヴンの介護に疲れ果てているとき、ジェーンのお母さん(エミリー・ワトソン)が、「教会の聖歌隊で歌ったら?」って提案するのも賢いし、周りの人、スティーヴンの友達とか、みんないい人ばっかりだよね。

で、聖歌隊の指導をしているジョナサンとジェーンは魅かれ合うのだが、浮気には発展するのではなく、ジョナサンはスティーヴンの世話を手伝ってくれるようになるという、これ本当だったらなんてイイ奴なんだ!って思う。

でもスティーヴンの家族からは、末っ子はジョナサンの子供じゃないでしょうね、なんて言われるジェーン。けど、スティーヴンはジェーンの気持ちを分かっているのか、ジョナサンに会いに行って、いままで通り交流しようと言う。

これも本当ならなんて愛情深い人たち!!

スティーヴンがさらに具合悪くなると、ジェーンはジョナサンと会わないことに決める。これも辛かったなあ。でもそれで雇った看護婦と恋に落ちてしまうスティーヴン・・・

てめー、今まで面倒見てやったのに!って思うけど、でもしょうがないんだよね。こういうことあるんだよ、と思ってウルウル来た。

スティーヴンと別れたジェーンがジョナサンに逢いに行くシーンで、「どうしよう、ジョナサンに新しい彼女がいたら」ってハラハラしたけど、やっと晴れて結婚できたらしい。この部分は本当らしいので、ホッとした。

原作はジェーンが書いた、ホーキングとの結婚生活の話ということなので、彼の博士としての功績とか公の顔ではなく、障害がある男と敢えて結婚した女性が、旦那と色んな人生の経験をしていくところが刺さる。

監督のジェームス・マーシュが、この映画のテーマは、普通の人ではなかなか経験できないような環境で、人生が投げつけてくる色んなカーブボールを受け止めて行くカップルのラブ・ストーリーと言ってたとウィキで読んだけど「そう!」って思った。

伝記物は必ず史実と違うとか批判が出てくるけど、私はコアの部分でこの2人が関係を築いて維持しようと努力したことは真実だと思った。だからベタでも泣ける。

オスカーはこういう映画ばっかりノミネートしてればいいんだよ!変に「多様性」とか言い出すからおかしなことになる。「オスカーが好きそうな映画!」でもいいものはある。他のエッジィで「ワオ!」な映画はカンヌ映画祭とかトロント映画祭で注目された映画でいいんだから、「映画界のダイナソー」として尊厳を保ったまま滅びて欲しい。
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