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博士と彼女のセオリーのhirogonのレビュー・感想・評価

博士と彼女のセオリー(2014年製作の映画)
4.0
先日亡くなったスティーヴン・ホーキング博士と妻ジェーンの半生を描く。

wikiによると、本作の映画化の経緯が以下のように紹介されている。
”本作の脚本を書いたアンソニー・マッカーテンは1988年に出版されたホーキング博士の『ホーキング、宇宙のすべてを語る』を読んで以来、博士に関心を持ち続けていた。2004年、マッカーテンはジェーン・ホーキングの回想録『Travelling to Infinity: My Life with Stephen』を読んだ。そして、映像化される保証がないまま脚本の執筆に取り掛かった。自身の企画について話し合うために、マッカーテンは何度もジェーンのもとを訪ねた。何回か脚本を書き直した後に、ICMのエージェント、クレイグ・バーンスタインを通して、プロデューサーのリサ・ブルースと会った。
マッカーテンとブルースは3年かけてジェーン・ホーキングから回顧録の映画化の承諾を得た。”

ホーキング博士の本は当時ベストセラーにもなり、私も読みました!
映画化の経緯にも出会いの運命みたいなものが感じられます。

スティーヴンを演じたエディ・レッドメインは、アカデミー主演男優賞受賞。
エディは、本物のホーキング博士としか思えないような素晴らしい演技を見せてくれます。
そして、回想録を書いたジェーン役をフェリシティ・ジョーンズが演じますが、彼女も可愛さと強さと時には弱さも見せるジェーン役を好演しています。

ケンブリッジの学生時代に知り合ったスティーヴンとジェーン。
しかし出会って間もなく、スティーヴンは筋萎縮性側策硬化症(ALS)を発症して、余命2年と宣告される。

それでも、人生を共にしたいとスティーヴンに訴えるジェーン。
二人は結婚し、子供も産まれ、スティーヴンは博士になります。
でも、病状は確実に進行していきます。
徐々に進行する病状のエディの演技が、見ていて辛いほどリアルです。

二人を助けてくれるジョナサン(チャーリー・コックス)、
優秀な看護師のエレイン(マキシン・ピーク)、
らが登場して、長年連れ添ったスティーヴンとジェーンの関係にも変化の時がやってきます。


(以下、ネタバレ)
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スティーヴンがジェーンに、米国から授賞式の招待を受けてエレインに同行を頼んだと知らせた場面。
自分ではなくエレインに先に話したことに対して、ジェーンは家族としてのスティーヴンとの関係が変わらざる終えないことを感じます。
ジェーンが「私たちは最善を尽くした」という言葉とともにスティーヴンと抱き合うシーンは、胸に刺さります。

そして、スティーヴンの持ち物の引越の場面。お互い別れて暮らすことを選択したのです。
その後、ジョナサンと暮らすジェーンのもとにスティーヴンから手紙が届きます。
スティーヴンの叙勲の知らせです。叙勲式に家族で招待され、スティーヴン、ジェーン、子供たち3人で一緒に王室を訪れます。
叙勲式の後、二人が庭園で子供たちを見守りながら会話するシーンも好きです。

ラストの巻き戻し映像は、時間を研究してきたホーキング博士の半生記に相応しいエンディング。
時間が巻き戻っていく様子は、過去の記憶を再体験している感覚で感慨深いものがあります。

エンディングでスティーヴンとジェーンのその後についての字幕説明。
・スティーヴンは72歳になり、”万物の理論”を研究中。
・ジェーンも博士号を取得して夫ジョナサンと暮らし、孫が3人いる。スティーヴンとは良き友人。

学生時代に余命2年と宣告されてから、二人で乗り越えてきた年月の重みが心に響く作品でした。
ホーキング博士のご冥福をお祈りいたします。
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