Masato

ストレイト・アウタ・コンプトンのMasatoのレビュー・感想・評価

4.6
伝記映画の中でも最高峰の面白さ

伝説的なヒップホップグループ「N.W.A」の結成から解散、その後を描いた本作。
コンプトンは、その狭い地区で年間数百人死ぬというまさにギャングの巣窟。
そのコンプトンで生まれたグループ。
ギャングのライフスタイルなどを初めて世に知らしめたグループ。
洋楽のCDのパッケージなどによくある"Parental Advisory"という、歌詞に暴力的な表現があると付くマークはこのN.W.Aからです。
と言っておりますが、歌っている張本人達は、Easy-Eを除いて大学へ行ってたりする真面目君達である。

そんな彼らが黒人差別にあったり、グループでの不和にあったりしていくのだが、

こいつらはキング牧師の生まれ変わりか!

と感心してしまった。
差別を暴力でなく、歌で訴える。
決して差別主義の警官たちの脅迫に屈せず、殴られながらも訴えていくその様は、キング牧師だ。

そういう一面もあるし、音楽に対して真摯に向き合う姿勢も大好きだった。
この映画を、アイドル達に観て欲しい。
今を駆けるロック歌手などは、自分の生き様を歌詞にしたり、経験を基にして歌詞にしたりする。
そうしてメッセージを取り込み、伝えるという、これこそが歌なんだと気付かされる。
アイスキューブは自分の生まれた地、自分が差別されたことを伝え、結果「F**k the Police」が生まれた。
名曲というものは、どの時代であっても自分の経験から生まれるものだ。(勿論その他の名曲もあるが)

後半からは金問題やら契約問題やらのぬかるんだ沼のような内容になっていくが、前半の活気あるシーンから後半へ段々とN.W.Aが転落していくのも実話ならではのリアリティそのもの。
でも、ギャングの地で生まれた真面目たちの実話だから、現実味あるけどかなりドラマチックでもある。

といっても曲の良さ!
Straight Outta Compton , Gangstar Gangstar , Fuck the police など、まさにN.W.Aを物語るとんでもない歌詞とドレーとアイスキューブとイージーEが織りなすメロディとラップが最高!
自前に聴いてきたけど、映画の内容の中そして映画館の音響で聴くこの曲は格別だった。曲の歌詞が字幕に出るので、その歌詞のメッセージも伝わりやすかった。

キャストは似てる似てるw
アイスキューブ役の人は本人の息子なので、もう瓜二つの容姿です。あれ?本人じゃないの?と見違える。ドクタードレーも似てます。
脇役のスヌープドッグや2pacも似ているかな?声が。

今現在、N.W.Aのメンバー達が、Beats by Dr.dre やら俳優業やらでそれぞれの道を進んでいったんだなぁと鑑賞後に顧みると、とても感心して感動できる映画だったなぁと思いました。
差別、友情、家族。それぞれにぶち当たりながらも立ち上がった彼らを見習わないと。
Masato

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