シネマJACKすぎうら

世界から猫が消えたならのシネマJACKすぎうらのネタバレレビュー・内容・結末

世界から猫が消えたなら(2015年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

いやぁ、泣いたわ。泣いた。
画面の向こう側が、これだけあからさまに”泣かし”にかかろうとしてることが分かってても、なお泣けてしまうという。。
まぁ原作由来かも知れないが、それだけ強力な”お涙頂戴”装置をぶっ込んでいるのだろう。

しかし、、だ。
生涯胸の内にしまっておきたくなるような大切な映画にはなり得ない。。
何故だろうか、考えてみた。

終盤、浜辺のシーンで主人公の口から発せられる”本作のテーマ”。それを、もう”死に際”の主人公が悟ったとして、いったいどうだと言うのか。むしろ酷くはないか。
遺される家族、友人、.etc、、、彼らは主人公の辿った物語を共有していないのだから、教訓にしようもなければ、彼の死を受け入れる根拠にもなり得ない。
なんか、演出と編集の巧みな魔法にかかって、観てるときは爽やかな涙を流した気になるのだが。。

冷静に考えると、極めて”残酷”で”救いのない”物語としか思えない。。
元カレの間近に迫った死を知った上で、今は亡き”元カレの母親”の手紙をポストに投函する女の子にいたっては、もはやホラーじゃない??

映画の作り手は、こういうところ考えないのだろうか。できれば考えて欲しい。
この類の”魔法”は、醒めた後が二日酔い並みに辛いのだ。