ねーね

ピースオブケイクのねーねのレビュー・感想・評価

ピースオブケイク(2015年製作の映画)
3.9
心にグサグサ刺さる。
ひとを好きになるっていうのは、簡単だけど、一度好きになってしまったが最後、蜘蛛の巣みたいに心の奥に巣食って巣食って、抗ってもほどけない呪いみたいなものなのだ。
だれかの笑顔をみた瞬間、どんなに報われない恋だったとしても、あぁ、このひとのこと好きになるなって思ってしまうことってあるもので、それってどうしようもないくらいに人間の性ってヤツなのだろうな。

ひとを好きになっては、疑心暗鬼になって別れて、たまたまそこにいたほかのだれかを拠り所にして、また流されて好きになって、それってほんとの恋なの?って自問自答するけど、答えなんて絶対見つからない。
だってすべては感情論だから。
理性的になれるなら溺れるような恋なんてしないよ。

不安になるから、予防線をはって、きっとこのひとは浮気してるから、振られてもわたしは傷つかない、そんなのずっとわかってたことだから傷つかない、そんなふうに自己防衛する。
そんな恋、ちっとも楽しくないのに、自分に自信がないからそばに居てくれる人にすがりついてしまうのだ。
多部未華子演ずる志乃の気持ちが痛いほど伝わる。
ダメンズウォーカーだって、ダメンズウォーカーになりたくてなってるわけじゃないのにさぁ。

この物語はハッピーエンドだけど、現実は必ずしもハッピーエンドじゃないから、これはやっぱり映画にすぎない。
だけど、この映画に共感できないひとは、きっと幸せなんだろうなあ。
そんなひとたちが羨ましくもあるけれど、理性も外聞もとっぱらってだれかを好きになれるっていうのは、長い人生のなかでやっぱりキラキラした素敵なことじゃないかと思うんだよね。
この映画は、泥沼みたいな恋愛してるひとたちの背中をやさしく撫でてくれる。
とってもすきな映画でした。
菅田将暉のチューが、エロい。
ねーね

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